僕が医療法人厚生会に赴任して早いもので7年を過ぎました。この間、法人や病院のあり方についていろいろ悩み、考え、相談し、改革と改善を行ってきました。
まず病院では、「病院運営会議」を新たに設置し、病院の方針を明確にし、ローカルルールを無くし、病院の向かう方向性を職員のみなさんと共有し、周知徹底できるようにしました。そして、「病院の理念」をわかりやすく新たに作成し、経営理念を『持続した安定経営と発展』とし、その実現に向けて診療体制や患者受け入れ体制の見直しや整備を行い、多様な患者さんが入院できるようにしました。また、病院の方針として『安全で良質な医療と介護』『清潔な療養環境の提供』を掲げ、医療安全と院内感染対策の充実をはかりました。次に、事務局長といろいろ相談しながら「耐震改修工事」を思い切って実施し、現在の病院の形となりました。少なくとも職場環境と療養環境の改善はできたと確信しています。また、新型コロナウイルス感染症をはじめ各種感染症に負けない病院造りを目指して設置した陰圧病床と感染症外来、そしておむつシューターは、感染予防とその拡大防止に威力を発揮しています。そして、やり残したB棟の改修工事、A棟2階の緊急時の空調設備の導入を行い、一連の工事がやっと終了し、病院の方針として掲げた『安全で良質な医療と介護』『清潔な療養環境の提供』が実現します。一方、「電子カルテ」を導入し、デジタル化を進めましたが、まだまだ問題はつきません。しかし、デジタル化は今後も進めていく予定です。さらに、介護医療院には「モデル病棟」を設置し、理想的な介護医療院とは何かを模索しながら整備中です。また、大学と協力しながら「新たな人材確保」も行い、今後も継続していきます。そして、新しく生まれ変わった奈良厚生会病院の存在とその良さを広く世間のみなさんに知って頂くために、「情報発信活動」に力を入れています。具体的には、今回のホームページの刷新や各種病院や施設を巡り、従来の急性期病院からの転院はもとより、若草園をはじめとする周辺の施設からの入院要望に迅速に応え、さらに、今後も増加する独居の高齢者が気軽に入院でき、早期に自宅に戻る、あるいは、自宅に帰れなければ次のステップの選択肢を提案し、御本人や御家族とともに相談し、多様なニーズに対応できるようにしました。
こうして今までに行ってきた改善・改革のための努力は、徐々に実を結び、経営理念に掲げた『持続した安定経営と発展』は実現しつつあります。今後もこれらの活動を継続し、さらに強化し、県内・地域の皆様の信頼にお答えできる病院・介護医療院にしていく所存です。そして、令和8年には「病院機能評価」を受け、病院改革が自己満足にならないように、第三者機関の評価・指導を受け、職員一同で力を合わせ、病院をなお一層改善し、さらにその内容は介護医療院にまで広げていきたいと思っています。一方、医療法人厚生会のもう一つの機能として併設している介護老人保健施設「若草園」があります。入所は100名で、各種イベントやクラブ活動があり、季節毎の行事も盛りたくさんで、食事も充実しています。今後改修工事も予定しています。奈良厚生会病院との連携はしっかりとれており、ご利用される皆様に安心して喜んでご利用していただけるようにこれからも充実させていく予定ですのでどうぞよろしくお願いします。
医療法人厚生会は、長い、長い滑走路を走りぬけ、やっと離陸しました。この飛行機がどこを目指すのか、みなさんと共に考え、力を合わせて、時代の流れに取り残されることなく、進化・発展を続けれるように頑張っていきたいと思います。